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Bernhard Wünsch


ベルンハルド・ヴュンシュ

指揮者・ピアニスト

 

1965年ドイツ、アウグスブルク生まれ。ヴュルツブルグとミュンヘンの国立音楽大学在学中すでに南ドイツ地方のオーケストラを指揮する。またザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭にホルスト・シュタインのアシスタントとして関与し、またコーリン・デービスやロルフ・ロイターのマスタークラスにも参加し研鑽を重ねる。その後ビーレフェルト、ヴィースバーデン、ドゥイスブルク、ケルンそしてシュトゥットガルトのオペラ劇場などで指揮し、ラジオとテレビの出演や、CD録音もこなし、全ドイツ中のオーケストラ指揮をする。1995年以来彼は指揮者としてヨーロッパはもとよりロシアやヴェルター湖音楽祭、ノイシュヴァンシュタイン音楽祭でも名声を上げ、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、プエルトリコ、メキシコ、イスラエルでも客演指揮をする。

 彼はロマン派から現代音楽を好み、18~20世紀のシンフォニー音楽のスペシャリストであるが、オペラ(ドン・ジョヴァンニ、トスカ、蝶々夫人、椿姫、カルメン、ローエングリーンなどを初め約60にも及ぶオペラレパートリーがあるということは彼の若さでは驚異的な事と言えよう!!)、オペレッタ、オラトリオ、ミサ曲、さらにバレー、ミュージカル、上質な娯楽音楽や映画音楽も幅広く指揮している。またポピュラー音楽やミュージカル音楽のアレンジもこなし名を上げている。2008年より映画プロデュース、イベント・ガラ・コンサートやコンサート・ツアーなどの企画をも北ドイツ放送局と共同で手がけている。近年はドイツ、ミュンヘン・フィルハーモニーのガスタイク、ハンブルクのレツィスホール、フランクフルト旧オペラ座、ベルリン・コンサートホール、そしてオランダなどでのコンサートの活躍も著しい。またピアニストとしても室内楽やリート伴奏に特に好んで力を入れている。現在ミンスク放送管弦楽団主席客員指揮者である。

シマノフスキ

 

20129月、ドイツ・シュヴェービッシュ・グミュントのシュヴェール・ハウスにて録音された、ソプラノ・アイリカとピアノ伴奏・ベルンハルト・ヴュンシュによる新作CD

カロル・シマノフスキーの「12の歌」作品17は今回の全曲録音は世界初であり、録音と平行して行われたコンサートでもセンセーショナルを巻き起こした。

また同コンサートで取り上げられたロベルト・シューマンの「詩人の恋」作品48も同時に収録。

 

その時のコンサートの評論が2012919日シュヴェービッシュ・グミュント・レームス新聞に取り上げられていたので参考にしていただきたい。それ以上ここで何も言う必要はないだろう。

 

 

 

感動深きリート芸術の秘密

 

シュヴェール・ハウス・コンサートシリーズはアイリカとベルンハルト・ヴュンシュのリーダーアベントで幕を開けた...

 

 非常に珍しい、そして素晴らしいリーダーアーベントをもって201213年のシュヴェール・ハウス・コンサートシリーズは先週日曜日に始まった。そのシリーズの幕開けとなるその晩、ソプラノ・アイリカとピアニスト・ベルンハルト・ヴュンシュはよく知られたシューマンの「詩人の恋」と、珍しいカロル・シマノフスキーの「12の歌」作品17の、2つの組曲によるプログラムで私達を楽しませてくれた。カロル・シマノフスキーの「12の歌」作品17は後期ロマン派の作品で、それぞれの曲は詩的なものから、時として重苦しい表現の幅を持った作風であり、シマノフスキー自身も言うように、「昨日のものではなく、今日のそして明日のもの」を作曲しているように感じられる。

 歌曲の解釈において、この2人 は最高級のものを持っており、アイリカは全く完璧な歌唱テクニックで私達に声を聴かせ、そしてそれは的確な色彩表現をこなすソプラノ歌手であることを深く 印象付けた。彼女は声を文字通り「花咲かせる」時、特に強調したい彼女のこの世のものとは思えない程の驚くべきピアニッシモから、強靭なフォルティシモに 移っていくのである。そしてそれはカロル・シマノフスキーの「12の 歌」が多分に無調性音楽への世界に入りかけている作品であるからこそ、なおさら特注すべき大変な素晴らしい技であるのである。そしてまた、アイリカの特筆 すべき点は、声のダイナミズムをうまく使い分けて、歌曲の劇性を作り上げていくところにもあり、しかしそういう中にあってもテキストの内容もわかりやす く、全く自然な感じで、楽々と無理なく歌うのである。そしてこの歌手の自由自在のヴィブラート法によって曲の解釈を効果的に強めるうまさはもうすでに大き な芸術であり、感嘆させられるばかりである。2人はこのシマノフスキーの組曲を長い発展豊富な、そしてその中にもはっきりとした周期性のあるシーン展開を持つものとして演奏したので、全体的に色々な面が見えたし、それぞれの違いがはっきりとして変容していくのがわかり、12曲すべての曲が感嘆すべきすばらしきものになったのであるが、それにはもちろん何と言ってもベルンハルト・ヴュンシュの偉大であらゆる箇所において忠実で適切な解釈を持ったピアノ伴奏があったからこそと言えよう。

 

「半ば痛み、半ば喜びの“春への憧れ”の魅力の中で」

休憩の後、アイリカとベルンハルト・ヴュンシュ は「感動深きリート芸術の秘密」の扉をロベルト・シューマンの「詩人の恋」で開いた。それは、溢れる暖かさ、力強い強調、ダイナミック性コントラストの的 確な用い方、弾力性に富むしなやかさの叙情性をもっての演奏であった。シューマンの「詩人の恋」を聴いた人は、半ば痛みのある、半ば喜びの春への憧れの入 り混じった、靄の様な何ともいえない抗し難い魅力の中に引き込まれてしまう。また、作品中「春」が直接書かれていないときでも「詩人の恋」のハイネの詩 は、この四季感を絶えずはっきりと表しているのである。また数多いドイツ・リートの中で、この作品のように詩と音楽の表現がぴったりと相互に融合し、同時 に繊細を極めているものは本当に少ないと言えよう。アイリカは「詩人の恋」のほのかな悲哀と歓喜の叫びの中を、また詩情と苦々しい恨みの間を行き来しなが らも、叙情的主体をしっかり理解し、形作っており、何とも言い難い偉大な歌手である。その上、発声については究極とも言える完璧なテクニックを積み重ねて あり、声は非の打ち所のない素直で全く無理のない響きなのである。そして、このソプラノ歌手はこのリート歌唱芸術の技を一束にして、あっと驚くばかりの自 然さで、わざとらしさのない表現を音にしてしまうのである。アイリカの正確な音楽表現の感覚は技量と一対になっている。彼女のソプラノの響きはすべての音 域でバランスが取れている。彼女のダイナミズムの自由さは、テキスト内容の自然な表現を生み出すツールにもなっており、そのささやくような、それでもしっ かりと支えられたピアニッシモは、とろける甘さをも表出させ、時に高音域でのかぶせたフォルティッシモは壁でも打ち破ってしまうかの様な力をも見せるので ある。そしてベルンハルト・ヴュンシュのピアノは絶えずこのシューマンの虹色に輝く陶酔する美しさに満ち溢れた音楽の特別な色彩感をかもし出していたので ある。

 最後に2人は聴衆の割れんばかりの拍手に答えて、アンコール曲として「詩人の恋」より再び「あなたの目を見つめるとき」を満ち足りた喜びの中で演奏した。

 

2012919日シュヴェービッシュ・グミュント・レームス新聞)